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最高裁判所第三小法廷 昭和34年(あ)1857号 判決 1960年1月19日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人長崎祐三の上告趣意第一点は、配偶者の直系尊属に対する殺人の規定(刑法第二〇〇条)は憲法第一四条に違反する旨主張するが、刑法第二〇〇条の規定が憲法第一四条に違反するものでなく、配偶者の一方とその他方の直系尊属との関係も本来の親子関係に準じて重視するを当然とし、配偶者の直系尊属に対する殺人についても、本来の子の親に対する殺人と同じ重刑を科することを正当と認むべきことは、昭和二五年一〇月二五日大法廷判決(刑集四巻一〇号二一二六頁)及び同三二年二月二〇日大法廷判決(刑集一一巻二号八二四頁)の判示せるところであり、論旨は理由がない。第二点は判例違反を主張するが引用の判例は事案を異にする本件に適切を欠き所論は結局事実誤認の主張をいでず(被告人の本件犯行が殺意に出たものであると認定した原判示は正当であり)、第三点は量刑不当の主張であって、いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 垂水克己 裁判官 島 保 裁判官 高橋 潔 裁判官 石坂修一)

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